2015年5月28日木曜日

ランチェスターの法則とカウンターに関する一考察

ランチェスターの法則は、そもそも撃ち合って相手を倒すというところに適用されるものなので、サッカーにそのまま適用されるかは未知だが、数的優位不利の意味合いを読み解くものとしてランチェスターの法則とサッカーを考察し、カウンターの有効性について述べる。



■カウンターがなぜ有効か
結論から言うと、カウンターが有効なのは戦力差がカウンターではない場合より小さいからである。
具体的に数だけで見ていくと。

人数がそろっている時:10人で守る→戦力100 7人で攻める→戦力49 戦力差→51
カウンター時:3人で守る→戦力9 2人で攻める→戦力4 戦力差→5

明らかにカウンター時の方が戦力差が小さい。
選手個々の能力で埋めるのも小さい戦力差の方がはるかに埋めやすい。

要は、数的優位は、単に+1ではなく、二乗で効いてくるので、カウンターが有効だといえる。
以下、順にこの結論に至る説明をしていく。

カウンターがなぜ有効か
カウンターがなぜ有効か


■ランチェスターの法則とは[Wikipediaより引用]
ランチェスターの法則(ランチェスターのほうそく、英:Lanchester's laws)とは1914年にフレデリック・ランチェスターによって発表されたオペレーションズ・リサーチにおける戦闘の数理モデルである。
第一法則
A0-At=E(B0-Bt)
A0はA軍の初期の兵員数
Atは時間 t におけるA軍の残存する兵員数
B0はB軍の初期の兵員数
Btは時間 t におけるB軍の残存する兵員数
Eは武器性能比(Exchange Rate)=(B軍の武器性能)÷(A軍の武器性能)
(軍の戦闘力)=(武器性能)×(兵員数)

第二法則
A0^2-At^2=E(B0^2-Bt^2)
すなわち (軍の戦闘力)=(武器性能)×(兵員数)2 と解釈できる。

詳細は、以下を参照のこと
Wikipedia ランチェスターの法則
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

■カウンターの定義
「サッカーにおける攻撃の戦術の一つとしてのカウンターアタックとは、攻め込まれていた側がボールを奪った際、相手チームの守備の態勢が整わないうちに素早く相手ゴール前にボールを運び攻撃する戦術である [Wikipedia]。」
大概、相手の守備人数が少ないはずである。


■サッカーに対するランチェスターの法則的解釈
ざっくりいうと、ランチェスターの法則が適用できると考えると(第2法則適用時には)数的優位は、二乗で効果がありますよ、ということ。
具体的には、選手の能力が全員同じとすると、攻撃側1人対守備側2人の際の戦力差は2×2-1×1=3となる。
もっと言うと1対2で勝つ可能性と1対3で勝つ可能性は、約3倍の開きがあるともいえる


○第1法則と第2法則について
・第1法則は「一人が一人としか戦えない」という条件であり、その場合は、数的優位は二乗で効果はない。
・基本的にサッカーは、1対1でしか戦えないということはないので第2法則が適用される。もちろん状況によっては第1法則も取りうる。

○掛け算(二乗ではない)で効いてくると考えられる要素(ランチェスターの法則のE(武器性能)に当たる)
これらで、数的な違いによる戦力差を埋められるといえる。
・選手個々の能力
・足を使うスポーツのため、手を使うものよりイレギュラーな状態が起こりやすい。この不確実性
・選手個々の状態(バランスを崩しているetc.)

○その他条件や考慮外事項やおことわり
※そもそも撃ち合って相手を倒すというところに適用されるものなので、サッカーにそのまま適用されるかは未知。
・キーパーの扱いが難しいので、数に含んでいないです。
・ボールを奪い合うという行為=制圧すべき陣地が移動するという条件になるので、ランチェスターの法則には含まれていない。
・カウンターには、スペースという概念が欠かせない。別の言葉でいうと空間。フィールドという限定空間のために、スペースという概念が生まれるともいえる。ランチェスターの法則には含まれている(狭隘な地形と記載)が、数式には出てこない。サッカーの場合、スペースの有無で例えば、人やボールの動きやすさといった選手個々の要素等が変化してくるだろう。
・ゴールという概念から、向きという概念も考える必要があるが、ランチェスターの法則には含まれていない。
・位置取りやフォーメーションの効果について、ランチェスターの法則にも暗に考慮されているはずであるが、フォーメーション効果が著しく薄くなった時代(1km、2kmの距離の違いは高速で動く航空機にとって大きな違いはない)のためあまり意味のないものであろうと推測される。ただし、サッカーのような距離的違い(1m詰めないとシュートを打たれる等)が効いてくる場合はそれも考慮とする必要があるだろう。


■その他
・カウンターに個人能力が必要と特別言われるのは、人数的な戦力差部分は最小化しているので、残りの差を個人能力で打開する部分が目立つためであるともいえる。
・カウンターは、守備側の選手の状態がバランスを崩していることが多いので、その意味でも相手の戦力を削っているといえる。
・ランチェスターの法則、第1法則に当たる状況は、マンツーマンの場合やアイソレーションの場合等であるが、この場合、選手個々の能力が大きく効いてくる
・相手の守備が整っている場合でも、局所的に数的優位を作り出せれば、ランチェスターの法則の第2法則が効いてくるだろう。このように、どの領域で見るかによっても変わってくる。実際のサッカーだとアイソレーションがこの例に当たる。
・攻守が完全に分断されているとすると、5人で攻めて5人で守ると攻守で発生する戦力差の絶対値の平均が最小になる。
・足を使うスポーツのため、手を使うものよりイレギュラーな状態が起こりやすい。この不確実性をより最大化するにはプレッシングが有効であろう。
・スペースを最大化するには、人数を最小にする必要がある。戦力を大きくしようとして人数を増やしても、スペースがどんどん減っていく分は戦力にマイナス分になる場合がある。しかも、スペースは有限、人にも大きさがあるので、戦力を最大にする人の並びのある条件があるはずである。これが、フォーメーションという形になって表れてくるのではないだろうか。

■追記(2015/7/5)
守備側   攻撃側  守備-攻撃 戦力差/攻撃人数
10×10=100 9×9=81 100-81=19 19/9≒2.1
2×2=4   1×1=1  4-1=3   3/1=3

人数が多い方が、一人当りの戦力差を埋めるために必要な能力(戦力差/攻撃人数)が、小さくなるのでカウンターの優位性を必ずしも主張できない。
数的同数の時も説明しにくい。

■References
Wikipedia ランチェスターの法則
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
Wikipedia カウンターアタック
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF


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